2019/11/4
軽度認知障害と診断された人のなかには、症状が治せるのか気になる人もいるでしょう。
認知症を発症してしまうと症状は徐々に悪化していきますが、軽度認知障害の場合には治せるケースもあります。軽度認知障害を治すためには、自身の生活習慣を見直すことが大切です。
この記事では軽度認知障害の治療法や自身で行える対策などについて紹介します。
軽度認知障害の症状は、もの忘れや気分の落ち込み、やる気が出ないなどが挙げられます。もの忘れなどの症状は加齢によるものと考える人も多く、病院の受診をしない場合もあるでしょう。しかし、軽度認知障害の発見が遅れると、症状が進み認知症になるケースもあります。認知症になるのを防ぐために軽度認知障害は早期発見が大切だといわれています。軽度認知障害を放置していれば認知症になるケースもありますが、適切に治療を行うことで症状が回復することが特徴です。また、糖尿病や高血圧などの疾患がある場合には、血糖値や血圧をコントロールする必要があります。
軽度認知障害を治療する際には、もの忘れ相談医がいる医療機関を受診するようにしましょう。診察のときには、面談をした後に改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)などの認知機能を調べるための検査やMRIや脳血流シンチグラフィなどを行います。時計描画テストでは、時間を正確に認識したり描いたりする能力をみます。検査の際に本人が緊張したり不安になったりしている場合もあるため、検査結果で一概に認知症とは判断されません。本人が軽度認知障害の検査に抵抗がある場合には、健康診断を受けに行く、家族が診察するなどの説明をしても良いでしょう。認知症と比較して、軽度認知障害の診断は難しいといわれています。
また、軽度認知障害の治療法や治療薬は確立していないことが特徴です。認知症に対する根治薬も2018年時点で開発には至っていませんが、実用に向け開発段階ではあります。そのため、生活習慣病ともいわれる認知症は、自身で生活習慣を見直すことが最も有益だといえます。軽度認知障害を治療するためには、まず自身の運動や食事などの身近な生活習慣から見直してみましょう。
軽度認知障害を自身で対処するためには、まず食事を見直す必要があります。日ごろから野菜を摂取せずに、甘いものや油が多く含まれる揚げ物料理などばかり食べている人は注意する必要がありますね。食事は3食バランス良く食べるよう心がけ、青魚や野菜などを積極的に摂取しましょう。アーモンドなどのナッツ類やブロッコリーなども、摂取するように心がけます。高血圧や糖尿病などは、認知症の症状を進行させるといわれています。そのため、塩分を控えめにし高血圧や糖尿病などを発症しないよう気を付けましょう。規則正しく生活ができるよう、食事の時間を決めるなどしておきたいですね。
また、運動することは脳に刺激を送ることができ、なかでも有酸素運動が軽度認知障害には有効だとされています。散歩や自転車など、自身の生活で無理なく取り入れやすい運動から始めてみると良いでしょう。運動が得意な人はジョギングや水泳、エアロビクスなどに挑戦してみても良いですね。ゆったりとした運動を楽しみたい人は、ヨガや軽い筋力トレーニングなどを行うと良いでしょう。脳に多くの刺激を送るためにも、自宅でできる運動ではなく外でできる運動を取り入れた方が良いですね。また、脳の運動である認知機能トレーニングは、軽度認知障害のリスクを抑えるとされています。前頭前野を刺激する認知機能トレーニングでは、楽しみながら脳のトレーニングをすることが可能です。
頭を使う認知機能トレーニングには、将棋やオセロ、麻雀などがあります。学ぶことが好きな場合には、簡単な学習ドリルやクロスワードパズルなどに取り組んでも良いですね。最近ではゲーム機やスマートフォンで手軽に脳をトレーニングできる脳トレも人気があります。
また、楽器演奏や合唱なども脳を刺激するトレーニングの1つだといわれています。楽器や合唱のような多くの人達と楽しめる趣味をもつことで、コミュニケーションをとる機会も増え軽度認知障害のリスクも抑えられるでしょう。文章を書くことが好きな場合には、日記やブログなどを始めても良いですね。
認知機能トレーニングを難しいものとして捉えず、楽しく続けられる趣味を継続していくことを心がけたいですね。写真が趣味の人の場合は歩く範囲を広げて写真撮影に出かけるなど、楽しみながら身体を動かせる方向へシフトしていくと良いでしょう。
軽度認知障害の人に対して、どのように対処すれば良いのか悩むケースもあるでしょう。しかし、家族の関わり方次第で軽度認知障害は改善が望めることもあります。
まずは、軽度認知障害は不安感が強くなりやすい傾向があるということを覚えておきましょう。本人の精神面が不安定にならないよう、家族は悲観的にならず楽観的に対処するよう心がけたいですね。もの忘れがひどくなったときやできないことが増えた場合でも、笑顔で対処することで本人も自分を責めることは少なくなるでしょう。
家族からみて本人のうつ症状がひどくなったと感じる場合には、運動などよりもまず病院の受診を優先することが大切です。
精神的な不安定さが目立つようになると、怒りっぽさや無気力などの症状が現れることもあります。そのような精神面の変調は、軽度認知障害の症状を悪化させてしまうケースもあるでしょう。
家族が本人を注意したり強く叱責したりすることも、不安感を強くさせてしまうことにつながります。そのため、まずは家族が気持ちに余裕を持つことが大切です。本人のペースを守りながら、軽度認知障害に家族で向き合うようにしましょう。本人の自尊心が保たれることで自信が持てるようになり、活動的になるなどのメリットもあります。
軽度認知障害から認知症にならないよう運動や食事、認知機能トレーニングに励むのは大切なことですが、家族は無理強いをしすぎないようにすることも重要です。
認知症と比較して、軽度認知障害はもの忘れが多くなったなどの自覚症状があるため、自尊心を傷つけないよう自然に声かけをして促していきたいですね。
対処法を実践する際にも医師からアドバイスを受けたトレーニングを、本人が適切に実行できているかなども時折チェックするよう心がけましょう。
また、軽度認知障害が疑われる状態のまま働いている人の場合は、家族と職場が連携をとることも大切です。なぜなら、職場だけで軽度認知障害の症状が強く出ているケースもあるためです。職場でどのような症状があるかの情報を集め、担当医に伝えるなどすると良いですね。
医師に相談し、職場の周囲の人達がどのようにサポートをすれば良いのかなどのアドバイスを求めると良いでしょう。軽度認知障害や認知症などの問題を家族だけで抱え込むと、介護疲れしてしまうケースもあります。
市町村の地域包括支援センターなどの相談窓口で相談することで、家族の不安感も軽減することができます。同じ悩みを抱える家族会もあるため、上手に活用するようにしたいですね。活用できるサービスなどは積極的に利用し、軽度認知障害と向き合うようにしましょう。
軽度認知障害を抱える本人にとっては、自身が認知症になるのではないかという不安に苛まれやすくなります。本人が趣味や運動などを生き生きと楽しめるよう、家族がフォローしましょう。
健康的で規則正しい生活を送ることは簡単なようですが、独居の高齢者の場合には難しいケースもあります。利用できるサービスを積極的に利用し、軽度認知障害と向き合えるようにしたいですね。